2019 年 76 巻 4 号 p. 319-329
有機溶媒中での多官能化合物とその間を繋ぐ二官能化合物との付加反応で形成される1stネットワークと,エーテル連鎖を有する二官能エポキシ化合物の開環重合で形成される2ndネットワークとを組合せて,IPNゲルを合成した.1stネットワークには,四官能ビニルシロキサンとアルキルジチオールあるいは多官能チオール化合物とPEGジアクリレートとのチオール–エン反応を用いて,2ndネットワークにはPEGジグリシジルエーテルの開環重合を用いた.IPNゲル化により破断強度と破断ひずみが向上した.また,ヒマシ油–ヘキサメチレンジイソシアネート/エポキシ化大豆油(ESO)反応系を用いたIPNゲルの合成も検討した.本系では,ネットワークの組成比だけでなく,ネットワークの形成順もIPNゲルの力学的特性に影響を及ぼすことが明らかになった.