2019 年 76 巻 4 号 p. 330-334
アミジンとカルボン酸(酢酸,プロピオン酸,酪酸)の中和反応により,五種類のプロトン性イオン液体(PIL)を合成し,それらPIL中において無水酢酸を用いたセルロースのエステル化反応を行った.得られたセルロース誘導体はDMSOに溶解した.セルロース誘導体の1H NMRスペクトルにおいて,無水酢酸由来のアセチル基だけでなく,PILのアニオンに基づく化学シフトも観測された.セルロースのエステル置換度は,PILの構造により変化した.得られたセルロース誘導体は270°C以上に熱分解温度を示し,170°C以下にガラス転移温度を示した.