論文ID: 2018-0043
筆者らは1-メチルピロールとアルデヒドの反応における新規擬リビング付加縮合重合法を研究している.この重合法では種々のアルデヒドを使用することで,ポリマーの主鎖の極性や分岐などの構造の制御のみならず,エネルギードナーやアクセプターなどを導入することもできる.本報では,新規擬リビング付加縮合重合法とその人工光合成系への応用として,二種類の構造制御したポリマーの合成法と物性について紹介する.一つ目はA,B-ブロック型両親媒性ポリマーで,親水性と疎水性のそれぞれ異なるブロックにエネルギードナーとアクセプターを有するものであり,ミセル系において異相間での光誘起エネルギー移動を示した.二つ目は分岐型ポリマーで,外側に多量のエネルギードナーを有し,中心部に電子ドナー–アクセプターを有するものであり,効率的な光捕集と中心部での光誘起電子移動を示した.