11 巻 (1954) 111 号 p. 300-305
ポリビニルアルコールの熱処理の際の化學構造の変化を明らかにするために, 二重結合およびカルボニル基の微量定量, 着色度の測定を行った。その結果195℃でのポリビニルアルコール粉末の熱処理においては, 窒素下にては二重結合, カルボニル基, 着色度共に変化なく, この温度では脱水反應による二重結合の生成およびカルボニル基の生成は起らないことを明らかにした。これに対し空氣下では二重結合, カルボニル基, 蒲色度共に増大し, 熱水不溶化物を生ずる。したがってこの温度では室氣酸素によるポリビニルアルコールの自働酸化が顯著であることを認めた。またこの際の不溶化物は生成の初期においては塩酸加水分解にて可溶化しうるので, 他の結合の存在は否定しえないが, 不溶化にはケタール結合が重要であることを知った。