抄録
2, 2'-アゾービスイソブチロニトリル (AIBN) を触媒として酢酸アリルの重合を行い, さきに報告した過酸化ベンゾイル (BPO) を触媒とする場合と比較した。重合速度と触媒の分解速度の比d [M]/d [Cat] は一の重合反応経過を通じて最後迄一定であつた。得られたポリマーの分子量は905から1295の間にある。化学分析による結果からも, 動力学的実験結果にもとづく計算からもポリマー分子の約80%が触媒切片を結合していることになった。これらの結果はBPOを触媒とした場合と同様である。AIBNを用いた場合とBPOを用いた場合の相違は触媒の開始効率にあり, 前者の方が後者よりかなり低い。重合が開始すればそれ以後の経過は両者全く同様である。