アセトアルデヒドを添加した酢酸ビニルの重合によって得られたポリビニルアルコール (A-PVA) は280mμに大きい吸収を与えるが, その見かけの分子吸光係数2.7×103はあまりにも大きく, また酢酸ビニルのケトン中の溶液重合によって得られたポリビニルアルコール (K-PVA) はA-PVAと同量程度にカルボニル基を含んでいても吸収がはるかに弱く, A-PVAの280mμの吸収を孤立のそれとみなすことはできないことを認めた。アルデヒドがポリビニルアルコール中のカルボニル基源と思われる通常のポリビニルアルコールの場合も同様であり, 225, 280, 330mμ の吸収は〓のn=1, 2, 3の構造にそれぞれ帰属されるものと考えられる。K-PVA中のカルボニル基はそのほとんどすべてが孤立のそれとみなされるが, このp-ニトロフェニルヒドラゾンの吸光係数E405 (g-1, l・cm-1) とカルボニル基 (モル%) の間にはCO基=0.27E405の成立することを認めた。分子吸光係数は1.63×104であり妥当である。