高分子化學
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アルカリ水溶液中の酸化ポリビニルアルコールの開裂反応
白石 誠松本 昌一
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1959 年 16 巻 165 号 p. 81-85

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抄録

前報で末端にカルボニル基をもつPVAはアルカリ水溶液中で解重合反応をおこし, 多量のアセトアルデヒドを生成することを報告した。今回は末端ではなく主鎖中にカルボニル基を導入した酸化PVAについて, アルカリ水溶液中で加熱した場合の極限粘度数, カルボニル基量の変化を測定した。その結果 (1) 酸化PVAは短時間に極限粘度数を低下し, PVA主鎖がカルボニル基の位置で容易に開裂することを認めた.(2) 開裂前の酸化PVAの主鎖中のカルボニル基をα0モル%, 平均重合度をP0, 末端カルボニル基をCモル%, 開裂後のカルボニル基をαモル%, 平均重合度をPとすると, 1/P=αa0/100+1/P0, α=100 (1/P-1/P0)(1+1/α) +Cなる関係が成立する.ここにα は0.33である。これは主鎖中のカルボニル基のうちのα個が, 逆アルドール反応で開裂したことを示す.

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