19 巻 (1962) 207 号 p. 456-460
溶融急冷してつくったナイロン6フィルムを重水中130gCで湿熱処理後, 1.28Nのヨウ素ヨウ化カリ重水溶液を用いてヨウ素処理を行ない, 重水素置換と結晶構造の変化を組み合わせたものの赤外スペクトルを測定し, 軽水中のヨウ素処理と対比した。その結果前報の結論を支持する結果が得られた。すなわち (1) ヨウ素溶液は結晶格子内に浸入し, ヨウ素がカルボニル基に配位し水素結合が切断される。(2) 重水素置換ナイロン6の2460と2410cm-1の吸収はナイロン6の3290と3690cm-1のバンドと同じ挙動を示す。(3) ナイロン6のアミド特性バンドは次のごとくである。すなわちa型では1271と1202cm-1の吸収がアミドIIIバンド, 692と979cm-1の吸収がそれぞれアミドVおよびIII'バンドであり, γ型では1274, 708および997cm-1のバンドがそれぞれアミドIII, VおよびIII'バンドである。(4)γ型ではアミドIIIバンドの炭化水素モードに対するカップリングは少ないものと考えられる。(5) α型の731cm-1およびγ型の728cm-1の吸収はアミド基に関するバンドはなくメチレン基の横ゆれ振動と帰属される。