抄録
塩化ビニルとマレイン酸ジエチルとの共重合を低温の乳化系で行なって, 得られるマレイン酸ジエチル含有量の少ない共重合物のフィルムの赤外吸収スペクトルおよびX線回折像を, 同一温度の重合で得たポリ塩化ビニルのものと比較した。さらにマレイン酸ジエチル含有量を異にする試料問についてもこれらの比較を行ない, 赤外吸収スペクトルおよびX線回折像の急変する組成を塩化ビニル単位の数平均シクエンス長で表現することによって, ポリ塩化ビニルが低温において結晶性を示すに必要なシンジオタクチックシクエンスを与えるに必要な塩化ビニルシクエンスは, 20~30個が最低であることを推論した。