高分子化學
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塩化ビニル樹脂類の低温における動的粘弾性
奥山 政高柳田 具美
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1963 年 20 巻 219 号 p. 385-390

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抄録
振動リード法 (100-200c/s), 両端固定ねじれ振動法 (05-1.7cfs) および, 一端固定ねじれ振動法 (05-5.8×10-1c/s) により-150-+50℃ にわたってポリ塩化ビニル (PVC) 樹脂類の動的粘弾性を測定した.試料はアジピン酸ジオクチルーエステル (DOA) およびリン酸トリクレジル (TCP) で可塑化したもの, および塩化ビニルと酢酸ビニル (VAc) との共重合体 (PVC-VAc), およびPVCとPVAcとのポリブレンド体 (PVC-PVAc) である.結論は次のとおりである.
1) PVCの5転移は末端基の運動によるのではない.また高分子鎖間の広域にわたる摩擦によるのでもない.
2) 可塑化PVCの耐寒性は (低温における可とう性) はα 吸収の位置 (温度) と形とに帰すべきであって, β 吸収とは関係がない.
3) 可塑剤混入と共重合とでは可塑化の機構を異にする.温度分散図において可塑剤の効果はαのすそを低温側へずらすにすぎない.共重合の分は30℃ に新しいピークを出現させる.この出現はVAc群のみのミクロプラウン運動を表わし, 結局鎖状分子を柔軟にする.
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