21 巻 (1964) 225 号 p. 71-78
高分子物質の高温急速熱分解の機構を調べるため, ペレット状の試料をあらかじめ所定の温度に加熱した石英管 (430~750℃) 中に落下させ, 試料がきわめて短時間に分解して発生する熱分解生成物をキャリヤーガス (N2) でガスクロマトグラフのカラムに直接に送入して分析する方法を採用した。この方法を用いてスチレン・アクリロニトリル共重合体の熱分解の機構, 特に単量体の生成率 (共重合体中の単量体単位に基いて計算したモル%) に及ぼす分解温度および共重合体の組成の影響を検討した。共重合体からのスチレン単量体の生成率は共重合体の組成および分解温度によって大きな変化を示さない。600℃付近で熱分解すると, 共重合体の熱分解生成物中のスチレン含有量から共重合体の組成を決定することができる。アクリロニトリル単量体の生成率は, 共重合体中のアクリロニトリルの含有率が増加すると減少し, 共重合体中の各単量体の配列の仕方すなわち構造分布により大きな影響を受ける。したがってこの方法により共重合体の構造分布について知見を得ることができる。