21 巻 (1964) 234 号 p. 657-665
ポリエチレンを塩化ビニルの気相中でγ線照射すると, グラフトポリマーが生成し, ホモポリマーの生成はわずかである。試料の厚さ, 線量率, 塩化ビニル蒸気圧, 反応温度などの合成条件とグラフト率との関係を求め, グラフト機構について考察した。すなわち, 1) グラフト初速度Vと線量率Iとの関係はV∝Ia であり, 線量率0.1~1.0×105r/hfの間で, αは0.8~0.9である。2) グラフト初速度Vと塩化ビニル蒸気圧Pとの関係はV∝Pβであり, ポリエチレンの種類, フィルムの厚さによってβは1.5~1.8である。3) クラフト初速度は0~60℃の反応温度範囲においては低い温度ほど大である。4) グラフト重合は主としてポリエチレンの非晶領域で行なわれ, 同一条件では低密度ポリェチレンは高密度ポリエチレンよりもグラフト率は高い。5) 試料の表面からの深さによるグラフトポリマーの濃度分布は複雑であり, 試料の種類, 反応条件などによって変わるが, 一般に最表面層ではグラフトは抑制され, 0.15mm以上の深部ではほとんどグラフトは行なわれない。