25 巻 (1968) 273 号 p. 55-61
ギ酸ビニルおよび三フッ化酢酸ビニルの重合物から得られた種々のシンジオタクチックポリビニルアルコール (VF-PVAおよびVTFA-PVA) を試料として, 溶解温度およびずり応力による析出量を測定した。VF-PVAのシンジオタクチック (diad)%(s-(diad)%) は, 重合温度が低いほど高く, VTFA-PVAのそれは, 高重合度物ほど低かった。それらの粗い粉末の溶解温度は酢酸ビニルから誘導されたPVA (VAc-PVA) に比べかなり高かった。なお, それは, s-(diad)%が同一ならば重合度が高いほど高いこと, および同一重合度ならばs-(diad)%が高いほど高いことを認めた。水溶液にずり応力を加えて析出させた溶質の溶解温度は, 原料PVAのそれより約10℃高かった。さらに, その析出物の溶解温度もs-(diad)%が同一ならば重合度が高いほど高く, 重合度が同一ならばs-(diad)%が高いほど高かった。PVA水溶液のずり応力による析出量は, VAc-PVAではほとんど無視しうる程度であったが, VF-PVAおよびVTFA-PVAの場合は, s-(diad)%および重合度により左右されたが, 約9~93%であった。また, 析出物のs-(diad)%が, 原料PVAに比べやや高くなる傾向が認められた。以上の事実から, シンジオタクチック部分のsequence lengthが機械的変性に重要な役割をしていることを認めた。