高分子化學
Online ISSN : 1884-8079
Print ISSN : 0023-2556
〔42〕 延伸によるナイロン6フィルムの面配向
岡部 隆康宮坂 啓象石川 欣造
著者情報
ジャーナル フリー

27 巻 (1970) 302 号 p. 350-355

詳細
PDFをダウンロード (4732K) 発行機関連絡先
抄録

ナイロン6フィルムの一軸延伸は分子鎖軸が延伸方向に配向し, 各微結晶の水素結合面がフィルム面に平行に配向する面配向を生ずる。本報では, この結晶の面配向性の延伸条件との関係を, 試料の吸湿量と延伸温度をパラメーターとして検討した。吸湿量がほとんどゼロに近い乾燥試料では, 40℃以下の延伸によって顕著な面配向性が観察された。この面配向性のための延伸温度は試料の吸湿量の増加につれて低下した。この温度はまた吸湿量によって低下するガラス転移温度と良い一致を示し, 試料のTg以下で延伸した場合には顕著な面配向性が観察された。しかし, 微量の結晶については, Tgより約25℃高温の延伸から面配向が観察される。一方, この面配向性は延伸方向と垂直な面内における収縮の異方性と高い相関をもっている (フィルムの幅と厚さ方向における) 。幅の収縮は厚さのそれに比較して小さく, この収縮の異方性は結晶の面配向性が顕著になるような条件で延伸が行なわれたときた著しくなる。この幅における収縮が小さいことは, 収縮に抵抗する潜在的な力が幅の方向に, 厚さの方向よりも強く作用していることを示唆している。したがってフィルムの一軸延伸はもはや厳密には一軸的ではなく, フィルムは二軸的, すなわち, 延伸の方向と, フィルムの幅の方向に同時に伸張される。この延伸の二軸性が結晶の面配向を生ずるものと考えられる。この二軸性はフィルムのかたさに依存し, それは試料のTgに顕著に依存するのである。

著者関連情報
© 社団法人 高分子学会
前の記事 次の記事

閲覧履歴
前身誌

合成繊維研究

後続誌

高分子論文集

feedback
Top