高分子化學
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〔114〕 高分子二相混合系における熱的相互作用
村上 良一
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27 巻 (1970) 308 号 p. 878-884

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抄録

プラスチック相をなすポリスチレン (PS) 中に, ゴム相が独立した相として分散した系では, 分散媒PS相のガラス転移温度Tgは, PS単独のTgよりも高温へ移動することが, 分散相として, ポリブタジエン (PBD), スチレン・ブタジエンゴム (SBR), アクリルニトリル・ブタジエンゴム (NBR), ポリ酢酸ビニル (PVAc), 酢酸ビニル・塩化ビニル共重合体 (VAc/VC), ポリ塩化ビニル (PVC) を含む混合系に共通に観察された。このTg上昇現象は, ポリメタクリル酸メチル (PMMA), ポリ塩化ビニル (PVC), スチレン・アクリルニトリル共重合体 (St/AN, AN; 25%) とSBRまたはPBDとの混合系における前者 (プラスチック相) のTgにも見出された。しかし, St/AN共重合体 (AN; 50%), ポリカーボネート (PC) のTgは, これをゴム相と混合しても変化しなかった。したがって, これは, プラスチック相分散媒ポリマーの構造的特性によるものと考えられる。PSと一連のゴムとの混合系において, PSのTg上昇度は, PSとゴムとの熱膨張係数の差が大きいほど大きいことがわかった。プラスチック相およびゴム相をなす2相の各成分ポリマーが熱膨張する場合, 成分ポリマーの熱膨張係数の相違により, ガラス状態にある分散媒ポリマーは, ゴム状態にある分散相ポリマーより熱応力を受け, これがTgの上昇をもたらすと考えられる。この概念により定性的には, Tg上昇現象を説明できたが, なお二三の基本的疑問が残る。

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