高分子論文集
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Seed乳化重合エマルジョン粒子中での異種ポリマーの異相生成挙動
松本 恒隆大久保 政芳柴尾 進
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33 巻 (1976) 10 号 p. 575-583

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抄録

ポリアクリル酸エチル (PEA) エマルジョンをseedとしてスチレン (St) のseed重合を, 重合完結時にはPEA/PSt比が1になる組成で行ったところ, 凹凸のある金平糖のような形態から成る特異なエマルジョン粒子 (confettiエマルジョン粒子と呼称) が生成することを認めた. そこで, このようなエマルジョン粒子の生成機構について検討し, 次の諸結果を得た. 重合途中では, 生成PStがPEA粒子中で球状の多数の分散粒子相を形成するという異相分離形態から成る粒子 (POOWエマルジョン粒子と呼称) が生成された. 開始剤の種類に関係なく, 開始剤ラジカルが水相から粒子中に侵入して重合が進行する場合には, confetti粒子が生成した. しかし, PEA seed粒子中にあらかじめ含有させたBPOを開始源とした場合には, 単に球状の粒子が生成した. PEAに対してStが多い重合組成で重合を開始し, PEA/PSt比が1になる重合率 (モノマー油滴が存在する) で得られた粒子は球状であった. Confetti粒子をベンゼンで膨潤処理すれば, 球状粒子に変化した. POOW粒子中におけるPSt分散粒子相とPEA連続相ではモノマー濃度に差があると考えられた. 上記のconfetti粒子が形成されるseed重合系においてStの代わりにMMAを用いた場合には, 重合途中でPOOW粒子形態は観察されず, 重合完結時でも粒子はconfetti状でなく球状であった. また, confetti粒子をseedとするStのseed重合を行ったところ, 生成粒子は球状になった. 以上の結果から, confettiエマルジョン粒子の生成は, 開始ラジカルの水相からの侵入, 粒子中の高粘度およびモノマーの局在化により, seed重合の場が局部的な粒子表面層に限定されたことに基づくと推定された.

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© 社団法人 高分子学会
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