34 巻 (1977) 9 号 p. 633-638
亜鉛カプリル酸塩触媒によるエポキシ樹脂-酸無水物系の硬化反応を速度論的に検討した. 硬化反応は2段階で進行し, 反応前期ではエステル化反応のみが起こり, その速度はエポキシ樹脂, 酸無水物, 触媒の各濃度に比例し, 見掛けの活性化エネルギーは7.09kcal/mol, 活性化エントロピーは-42cal・mol-1・deg-1となり, 環状3分子錯体構造を有するSN2機構により進行すると考えられる. 反応後期ではエステル化反応とエーテル化反応の両方により硬化が進行する. エステル化反応は反応前期と同様の機構により進行するものと思われる. エーテル化反応はエポキシ樹脂中のOH基の多少に関係なくエーテル結合生成量がほぼ同じであることから, 亜鉛カプリル酸塩が亜鉛イオンとカルボン酸イオンに解離し, エポキシ基と反応するアニオン重合により進行すると考えられる.