高分子論文集
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ポリ塩化ビニルーエトキシメチル化メラミン樹脂のブレンド物の動的粘弾性
田中 勝敏小川 弘正田中 裕子
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1979 年 36 巻 5 号 p. 321-327

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抄録

ポリ塩化ビニルに熱硬化性のエトキシメチル化メラミン樹脂を0~60部, 熱ロールで混合したフィルムを加熱処理し, メラミン樹脂の硬化反応を段階的にすすめた試料の動的粘弾性を調べた. メラミン樹脂はポリ塩化ビニル中に微細な粒子として存在し, 加熱処理をしても分布状態の変化はみられない. メラミン樹脂の硬化反応をすすめていくと, 充てん材を増していくように弾性率は増加し, 又, 温度-tanδ曲線に現れるポリ塩化ビニルに固有のαおよびβピークは減少する. しかし, 硬化反応による脱離分子のホルムアルデヒドおよびエタノールによって, ポリ塩化ビニルは可塑化され, ガラス転移温度は低下する. これらの現象はメラミン樹脂の添加量が多くなるほど顕著になるが, この混合系はポリ塩化ビニルに充てん材と可塑剤とを添加したものとして, その粘弾性挙動をモデルを用いて説明した.

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© 社団法人 高分子学会
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