37 巻 (1980) 6 号 p. 435-440
ビスフェノール型エポキシ樹脂と7種の脂肪族ポリカルボン酸, 5種の芳香族および脂環族酸無水物を用いて鋼板を接着し, その接着疲労挙動と硬化物の諸性質の関係から接着疲労の機構を明らかにしようとした. その結果, 脂肪族ポリカルボン酸, 芳香族および脂環族酸無水物で硬化した接着系では, 硬化剤の官能基数の少ない硬化系ほど接着疲労強度の大きいことが示された. 同じエポキシ樹脂と硬化剤から成る固体硬化物では, 官能基数の少ない硬化剤を用いた硬化物ほど破壊エネルギー, 破壊伸びおよび減衰は大きく, 橋かけ密度およびガラス転移温度は低下した. これらの結果は橋かけ網目が粗く, 緩和能力の大きな, 外部エネルギーをより多く熱として散逸する硬化物ほどその接着疲労強度も大きくなるものと考えられる. 以上の硬化系について接着疲労強さと橋かけ密度あるいは破壊エネルギーとの間にはよい相関が認められ, 各硬化系のガラス転移温度は橋かけ密度に支配された.