1985 年 42 巻 10 号 p. 655-662
種々の連鎖長を有するポリスチレン-ナイロン6ABA型プロック共重合体の表面微細構造と血小板粘着性との関係を検討した. プロック共重合体は, スチレン及びナイロン6のプレポリマーを用いて高分子反応により合成した. 材料微細構造は, 示差走差熱分析, 透過型電子顕微鏡, X線回折により解析し, また材料表面におげる血小板粘着性は, ミクロスフィアーカラム法により評価した. いずれの共重合体も, ポリスチレンとナイロン6との相分離構造を形成しているものの, それら2相の分布状態及び結晶化度はプロック連鎖長により種々異なっていた. 血小板との相互作用では, 同様なプロック組成においても, より結晶化度の高い共重合体表面において粘着抑制効果がみられ, ナイロン6に起因する結晶性領域の大きさや分布状態が粘着抑制に強く寄与していることが明らかとなった.