高分子論文集
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含フッ素セグメント化ポリウレタンに対する顆粒球ならびにリンパ球の反応性
宮本 正樹笹川 滋高倉 輝夫
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1985 年 42 巻 10 号 p. 663-670

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抄録

ポリテトラメチレングリコール (PTMG) 分子量の異なる一連の含フッ素セグメント化ポリウレタン (FPU) を合成し, ヒト白血球 (顆粒球やリンパ球サブセット) に対する粘着反応性を調べた結果, FPUに次の特性が見いだされた. (1) PTMG分子量は, FPUと各細胞との相互作用を支配する重要な因子であった. (2) PTMG分子量が約2000のFPU (FPU-50E) は, 顆粒球機能保持が高く, 顆粒球を取り扱う器材 (試験管, 保存バッグ) として有効であった. (3) FPU-50Eは, Ca2+, Mg2+共存下でリンパ球2大集団 (Tcell, Bcell) の内Bcellを特異的に粘着させたが, Ca2+, Mg2+非存在下ではBcell粘着が著しく低下した. そして, 2価カチオンや接触時間などをコントロールすることによりT, Bcell, 更には他のリンパ球亜集団をそれぞれ分離できる粘着担体としての可能性が示された. これらの効果は, FPU-50Eのミクロ相分離構造と関連があるものと考えられた.

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