ヒアルロン酸ハイドロゲルのガラス転移挙動をDSCを用いて検討した. ハイドロゲルは水分率 (Wc=水/絶乾試料, g/g) が2以下では10K/minの速度で冷却しても容易にガラス状態を形成し, ガラス転移現象が観察された. ガラス転移温度 (Tg) とTgにおける熱容量の差 (ΔCp) のWc依存性を検討した結果, Wc<0.5の領域ではガラス転移は不凍水が吸着したヒアルロン酸によって起こり, Wc>0.5の領域ではガラス化した水とヒアルロン酸との協同的な運動によって起こることが判明した. ガラス化した水のΔCpはWcの増加に伴って減少し純水の値に近づき, ヒアルロン酸との相互作用の程度によってハイドロゲル中の水の構造が影響を受けることが分かった.