高分子論文集
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高分子材料の強じん性化
石川 優
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47 巻 (1990) 2 号 p. 83-97

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抄録

高分子材料のじん性を改善するための以下の二通りの基本的な方法を, 降伏応力, クレイズ形成応力そしてクレイズからのクラックの形成応力という破壊の特性値を用いて説明される高分子材料の破壊機構を基礎として, 提案した. (1) ひずみの拘束の解放による応力集中の緩和によってクレイズあるいはクラックの発生の抑制. (2) クレイズあるいはクレイズからのクラックの形成応力の改善. 非相容系のポリマーアロイを例として用いることによって, 分散相とマトリックス樹脂とのはく離による多数のボイドの形成により (1) の機構によるじん性の改善は具体的に可能であることが示された. この結果はポリマーアロイにおけるじん性の発現機構が比較的簡単な弾塑性解析による検討によって理解できることを明らかにしている. さらに付随的な結果としてマトリックスが延性的な高分子の場合には分散粒子間でクレイズの形成なしに変形が可能な分散粒子の含有量は降伏応力とクレイズ形成応力によって推定できることが示された. また分子量, 分子鎖の剛直性を変えることによってクレイズあるいはクレイズからのクラックの形成応力は制御され, (2) の方法の具体化は可能であることが示された.

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