双環ラクトンの開環重合およびヒドロキシカルボン酸またはそのエステルの重縮合により, 主鎖にテトラヒドロピラン環あるいはテトラヒドロフラン環をもつ一連のポリエステルを合成した. これらのポリエステルについて加水分解性と生分解性を調べ, 分子構造との関連を検討した. テトラヒドロピラン環を有するエーテル・エステル型のポリエステルは, 中性リン酸緩衝溶液中室温ではほとんど加水分解しない. 同じ条件下でテトラヒドロフラン環を有するエーテル・エステル型のポリエステルは極めてゆっくりではあるが加水分解する. アセタール・エステル型のポリエステルは比較的容易に加水分解し, 究極的には対応するヒドロキシカルポン酸を生じる. 加水分解のしやすさは, 側鎖基の親水性・疎水性のほかに, テトラヒドロピラン環の結合様式によっても著しく変化する. 土壌中および活性汚泥中での分解試験により, アセタール・エステル型のポリエステルの生分解性を評価した. ポリエステルが低分子量化する段階は主として加水分解によるが, 側鎖を有しないポリエステルの低分子量化には生分解が寄与している可能性がある. 活性汚泥中での異化過程において生じる二酸化炭素の定量によれば, 側鎖をもたないポリエステルの加水分解物は生分解性がある. テトラヒドロピラン環が2位と6位で結合した主鎖からなるポリエステルが最も生分解を受けやすい.