50 巻 (1993) 9 号 p. 659-664
本研究は, 延伸したポリエチレンテレフタレートの13C NMRスペクトルと緩和時間を測定し, 延伸により出現する規則性について検討することを目的とした. カルボニルと芳香環の13C CP/MASスペクトルの線幅および化学シフトには延伸の影響が認められず, 未延伸試料と同じスペクトルを示した. メチレンのスペクトルは延伸でブロードな非対称形になり, スペクトルのピークは高磁場側にシフトした. 一方, 結晶化させた試料のカルボニルのピークは高磁場側にシフトし, 低磁場側にショルダ. が観測された. 芳香環のスペクトルの化学シフトの変化はみられなかったが, 線幅はせまくなった. また, メチレンのピークはカルポニルと同様に結晶化により高磁場側にシフトし, 線幅が減少した. すべての炭素の各緩和時間 (CP-Tl, PST-T1, CP-T1ρ) に対する延伸の影響は観察されなかった. しかし, 熱処理により結晶化した試料の緩和時間は結晶化度により変化した. 以上の結果より, 延伸により作られる規則性は主鎖が延伸方向に配列しただけで, 熱処理による結晶化のように三次元的空間の規則性は作られていないとの結論を得た.