水酸化ナトリウム水溶液に溶解するセルロースIV型としないIV型がセルロースI型およびII型からそれぞれ作製された. 溶解するIV型は室温において, 約10 wt%の濃度域の水酸化ナトリウム水溶液にのみ溶解するという現象が認められた. このような溶解現象を理解するためにCP/MAS 13C NMR, X線広角・小角散乱, IRなどの測定手段を用いて, 可溶および不溶試料のミクロな構造の違いを調べた. その結果, セルロース結晶部に存在する分子間水素結合の弱化に伴う微小な構造歪の増加により, 格子エネルギーが低下したため, この溶解性が生じていると予想された. また, 水酸化ナトリウム水溶液の10 wt%近傍でセルロースの膨潤度が極大になることにより, 構造歪を持つ結晶内部にNaOHが容易に浸透し, この濃度での溶解を引き起こしていると考えられる.