走査型粘弾性顕微鏡 (SVM) を用いて, 数平均分子量, Mnの異なる単分散ポリスチレン (PS) 固体膜表面の動的貯蔵弾性率, E″および損失正接, tanδを評価した. Mnが約30k以下のPS固体膜表面のE′およびtanδは, ガラス状態に対応する値よりもそれぞれ低下, また増加していたことから, この分子量のPS固体膜表面は, 室温においてすでにガラスーゴム転移状態にあると結論できる. 水平力顕微鏡 (LFM) を用いて, 単分散PS固体膜表面における水平力の走査速度依存性を解析した. Mnが約40k以下のPS固体膜表面では, 水平力の走査速度依存性が観測されたことから, 表面はガラスーゴム転移状態にあると結論できる. SVM測定の周波数をLFM測定の走査速度に換算すると, SVM測定の結果はLFM測定の結果と良く対応している. また, (ポリスチレン/ポリ (メタクリル酸メチル)) ジブロック共重合体膜表面のガラス転移温度, Tgの深さ依存性を温度依存X線光電子分光 (TDXPS) 測定および角度依存XPS (ADXPS) 測定に基づき検討した. 表面のTgはバルクのTgと比較して著しく低下しており, 固体表面近傍では, 表面から固体内部へ向かってTgがしだいに上昇することが明らかとなった. 高分子固体膜表面での分子鎖熱運動性の活性化は, 分子鎖末端が固体膜表面へ濃縮し, 過剰な自由体積が誘起されると考えることで説明できる. 分子鎖末端の表面濃縮は動的二次イオン質量測定により確認した.