π-共役系高分子の可逆的レドックス特性に基づいた合成金属触媒システムを構築した. ポリアニリンやポリピロールを触媒として, 酸素雰囲気下, ベンジルアミン類, フェニルグリシン, 2, 6-ジ-t-ブチルフェノールの脱水素酸化が進行した. プロトン酸ドーピングにより触媒活性が制御された. 定電位におけるin situ紫外可視スペクトル測定から, ポリアニリンの円滑な酸化還元プロセスにおいてプロトン酸ドーピングが不可欠であることが判明した. π-共役系高分子と遷移金属からなる多核錯体を触媒に用いた合成金属錯体触媒システムを設計した. これらの錯体では, 共役鎖を介した遷移金属間の電子的相互作用が機能すると考えられる. ポリアニリンと塩化銅 (II) や塩化鉄 (III) からなる錯体は脱水素酸化反応において, 高い触媒活性を示した. この触媒システムでは, 遷移金属が関与した酸化還元サイクルが形成されている. さらに, 遷移金属触媒反応において, ポリアニリンやポリピロールはレドックス活性配位子としても機能することが明らかになった.