高分子論文集
Online ISSN : 1881-5685
Print ISSN : 0386-2186
ISSN-L : 0386-2186
複合糖質高分子の精密構築-シュガーボールとリビング糖ペプチド
青井 啓悟堤内 要岡田 鉦彦
著者情報
ジャーナル フリー

1997 年 54 巻 10 号 p. 649-660

詳細
抄録

リビング重合法とデンドリマー段階的合成法に基づく複合糖質高分子の精密合成について, 分子設計概念と一連の合成例を2-メチル-2-オキサゾリン, グルコース誘導体またはN-アセチル-D-グルコサミン誘導体置換アミノ酸N-カルボキシ無水物 (GlycoNCA, 5a, 5b) のリビング重合系, およびポリ (アミドアミン) デンドリマー (19) を用いた場合について示した. 糖誘導体を開始剤とするリビング重合, 糖誘導体によるリビング重合の停止, 糖誘導体モノマーのリビング重合により, 置換数を限定した糖分子の高分子鎖への導入が可能となり, 機能素子としての糖質をもつマクロモノマーおよびブロック共重合体の構造制御合成を行った. 糖質マクロモノマーからは側鎖の鎖長が整った複合糖質高分子が得られた. Divergent法により合成されたデンドリマー19を反応性高分子として用い, 糖質化合物 (ラクトノラクトン, マルトノラクトンおよびGlycoNCA 5) との高分子反応により, 球状の糖置換デンドリマー (シュガーボール (Sugar Balls)) を合成した. さらに, デンドリマー19を多官能性高分子開始剤として用いた5のリビング重合系を検討し, オリゴ糖ペプチド置換デンドリマーを合成した. この“放射成長重合 (Radial-Growth Polymerization (RGP)) ” は, 成長反応の進行方向ベクトルが放射状であり, 動的な秩序性が高いため, デンドリマー/線状高分子ブロック共重合体 (ABn型 “星型デンドリマー”) を与える一般的な高分子合成法としても重要である.

著者関連情報
© 社団法人 高分子学会
前の記事 次の記事
feedback
Top