1997 年 54 巻 10 号 p. 702-709
官能基を有する6種の環状シュードウレア類 (1) を新規に合成し, そのスルホン酸エステル開始剤による異性化開環重合とハロゲン化アルキル開始剤による二重異性化重合を行い, 重合に及ぼす置換基の効果を検討した. これらのモノマーは4位に置換基を有するピペラジン環 (1b-e) あるいはピペリジン環 (1f, g) をもつ環状シュードウレア類であり, 導入した置換基が二重異性化重合の際のハロゲン化アルキル型生長種に隣接基関与可能であり, 置換基がバレロイル基の場合 (1d) には生長末端の安定化による重合のリビング性の向上を, エトキシカルボニル基 (1e) の場合には逆に破壊的連鎖移動をもたらした. また, エステル基 (1f), 水酸基 (1g) が置換したモノマーは酸性の水素の存在のため, 異性化開環重合と二重異性化重合の両者において連鎖移動が起こりやすいことが判明した.