高分子論文集
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ジェランガム水溶液および多糖類混合系のゾル-ゲル転移近傍のレオロジー的・熱的性質
三好 恵真子西成 勝好
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1998 年 55 巻 10 号 p. 567-584

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抄録

新規多糖類としてその利用拡大が期待されているジェランガムに注目し, そのゾル-ゲル転移近傍におけるレオロジー的・熱的性質を動的粘弾性, 定常流測定, および示差走査熱量測定 (DSC) により追跡した. また応用開発の立場から, ジェランガムとコンニャクグルコマンナンおよびカラギーナンとの混合系のゲル形成機構について検討した. 動的粘弾性の温度依存性において, 2%以下の低濃度のジェランガム溶液の場合, 損失弾性率G″は1段階の転移を示すが, 2%以上になると, G″は2段階の転移を示すようになり, 低温側の転移において, 貯蔵弾性率G′G″の交差が認められた. この二つの転移は, 高温側がヘリックス-コイル転移に相当し, 低温側がゾル-ゲル転移に相当すると推論した. ジェランガム濃度が3.2%以上になると, 動的粘弾性の温度依存性は顕著な熱的ヒステリシスを示すようになり, またDSC測定において, これらの系の吸熱ピークは二つ以上に分裂する傾向を示した. 定常流測定において, ヘリックス-コイル転移より高い温度では, ジェランガム溶液は極めてニュートン流体に近い挙動を示すが, ヘリックスが形成されると, 顕著なずり流動化の挙動に変化た. 2価のカチオンは1価のカチオンに比べて極めて少ない添加量であってもこれらの変化に著しい影響を及ぼした. 2価のカチオンを十分に添加すると, ジェランガムは熱安定性の異なる複数の架橋領域を多数形成し, 1価のカチオン添加系よりも熱安定性は極めて高くなることが示唆された. ジェランガムーコンニャクグルコマンナン混合系において, ある一定の混合比において, ジェランガム分子が会合している低い温度でのみ相乗効果が認あられた. この相乗効果が認められる混合系に1価のカチオンを添加すると, 添加濃度の増加とともにヘリックス-コイル転移およびゾル-ゲル転移温度は有意に高温側に移行したが, 2価のカチオンを過剰に添加すると相乗効果は阻害されることが示唆された. ジェランガムとカラギーナンはミクロ相分離ゲルを形成すると推察された.

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