低分子ゲル化剤の合成とその物理ゲル

抄録

1996年以後に報告された低分子化合物のオイルゲル化剤について述べた. trans-1, 2-ジアミノシクロヘキサンから合成したアルキルアミド誘導体とアルキル尿素誘導体が極性・非極性を問わず広範囲の有機溶媒をゲル化できる優れたゲル化剤である. ジ尿素誘導体のゲル化剤について述べ, アミド結合と同様に尿素結合間の水素結合もまたゲル化剤の分子設計に有用であることを示した. トリドデシル-1, 3, 5-ベンゼントリカルボキサミドは炭化水素溶媒, 油類に対して少量の添加で増粘性を示し, 増粘剤としての機能がある. 一方, 類似構造のトリオクタデシル-cis-1, 3, 5-シクロヘキサントリカルボキサミドは炭化水素溶媒油類に対してゲル化能を示した. 芳香族セグメントを含まないレバリンやレイソロイシンを含む双頭型アミノ酸誘導体は生分解性のオイルゲル化剤である. ほかに, 4, 4′, 4″-トリス (ステアロイルアミノ) トリフェニルアミン, コレステロールを含むイソシアヌル酸誘導体とトリアミノピリミジン誘導体の2成分型ゲル化剤, ブチロラクトン誘導体, 4級化アンモニウム塩, ^L-ロイシンエステル塩, フッ素化アルキル化オリゴマー, ペプチド, ビタミンH誘導体コール酸誘導体, グルコンアミド誘導体, ^L-イソロイシン誘導体のオイルゲル化剤を紹介した.