架橋導入に伴う構造不均一性の発現は, 網目状高分子を特性化する上でもっとも重要な因子である. この不均一性の起源を明らかにするために, 2種類の架橋方法で調製したN-イソプロピルアクリルアミド (NIPA) ゲルの構造とダイナミクスを小角中性子散乱および動的光散乱法により調べた. NIPAを架橋剤モノマーと共重合して得られるゲルと, PNIPA水溶液にガンマ線を照射して得られるゲルではともに, 濃度ゆらぎの凍結に伴う不均一性の存在が示唆されたが, 前者はモノマー反応性比の違いやミクロゲルクラスターの形成に伴う著しい架橋点の空間分布を有することがわかった. その一方, 温度ジャンプに伴うゲルの体積変化は2種類のゲルで大差はなく, 高速刺激応答を実現するためには架橋密度を小さくするか高温でゲルを調製すればよいことがわかった. Panyukov-Rabin理論を用いて構造解析を行ったところ, 理論と実験における不整合を一部で確認したが, 架橋臨界閾値などの架橋導入と不均一性に関する重要な知見が得られた.