61 巻 (2004) 4 号 p. 269-274
光学活性な原子移動ラジカル重合 (ATRP) 開始系を用いて, rac-2, 4-ペンタンジイルジメタクリレートのエナンチオマー選択重合を行った. 開始剤に2-プロモイソ酪酸メチル, ルテニウム (II) 触媒, 不斉添加剤を用いて重合を行ったところ, エナンチオマー選択的かつリビング的に進行した. 残存モノマーのエナンチオマー過剰率は重合の進行とともに増加し, 生成ポリマーは光学活性であった. ルテニウム (II) 触媒と不斉添加剤の種類や仕込み組成を変化させると, 重合のエナンチオマー選択性およびリビング性に差が生じた. また, AIBNを用いてSS体とRR体の共重合を行った結果, 得られたモノマー反応性比はほぼ等しかった. このことから光学活性な開始系を用いた重合のエナンチオマー選択性は触媒規制であることが明らかとなった. 以上より, 光学活性なATRP開始系はラセミ体の二官能性モノマーのエナンチオマー選択重合に有効であった.