本研究は、マンガを対象に役割語を抽出し、人物像の属性および役割語の要素の観点から、日常会話で使用される役割語の使用実態を明らかにすることを目的とした。分析の結果、属性に関しては「性差」に関する表現が最も多く、次いで「地域」「品位」「年齢・世代」に関する表現が多く見られた。役割語の要素に関しては、役割語が主に「終助詞」「人称代名詞」「訛り」「助動詞」の4つの要素に集中していることが明らかとなった。頻度および汎用性の高い役割語は、「性差」の下位分類である「男性」に集中し、とりわけ「終助詞」に多く見られた。さらに、1つの表現が複数の属性を兼ね備える場合や、文脈・使用状況によって異なる属性が付与される場合も少なくない。そのため、学習者が独学によってこれらの用法を的確に習得することは困難であり、教室における明示的な指導の必要性が示唆される。