口腔病学会雑誌
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口腔現症とレンサ球菌数の関係
大西 正男近藤 亘加藤 八郎左ヱ門
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1959 年 26 巻 2 号 p. 587-591

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抄録

1.口腔現症によつて8群に分け, 18~80歳の男女, 110名を正常群と他の7群の口腔レンサ球菌数を比較した。
2.St.salivariusについては橋群歯群および局部義歯群の平均値が正常群に較べて高く有意差が証明された。
3.St.mitisの数については歯槽膿漏が一番多く, 総義歯, 橋義歯, 齲蝕放置, 局部義歯の4群は正常群に対して有意性が証明された。mitissalivarius agarを用いた場合St.mitisはSt.salivariusの平均26倍の割で存在し, この比率は.歯肉炎 (73.4) の場合には正常値 (40.7) より高く, 歯槽膿漏 (25.8) で低くなつていた。
4.Total streptococciについては歯槽膿漏が最高値を示し, 橋義歯, 総義歯, 齲蝕放置, の4群の値が高く統計的に有意であつた。
5.Tellurite還元性レンサ球菌は歯槽膿漏の場合数多く証明され正常群に対して有意差が認められた。また人工床を装着した群ではTellurite還元性レンサ球菌数の著しい低下が証明された。
6.口腔の耐酸性菌の数と比較した場合レンサ球菌数の個人差が非常に少くまた耐酸性菌の場合とは逆に歯槽膿漏の症例ではSt.mitis, Total streptococci, Tellurite還元性Streptococciの数の増加が認められた。

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