37 巻 (1970) 4 号 p. 287-294
鋳造修復物を作るに当り, 鋳造体面より気泡をとり除く方策の1つとして真空埋没法がとられるようになったが, 精密適合の鋳造修復物を作るための膨縮計算は常圧練和時の埋没材膨張量によって行なわれているのみなので, 著者は, 真空練和による埋没材の膨張量を測定すると同時に, その他の物理的諸性質を常圧練和によるものと比較検討した結果次の事柄が判明した。
1.埋没材を真空練和すると, 埋没材の温度は上昇するが, 練和を中止し真空下で埋没操作を行うと徐々に下降する。しかし, これを常圧に戻せば初期凝結の始まる前に室温に復するので, この温度変化による蝋型の膨縮は考慮に入れる必要はないものと思われる。
2.真空練和すると加熱膨張量は変らないが, 凝結膨張量がわずかに増した。また真空練和時に混水量を増すと凝結膨張量, 加熱膨張量ともに減少した。このことより常圧練和と同じ全膨張量を真空練和により得るためには, 混水比を0.36から0.37に1%増すとよいことが判った。
3.凝結時間は真空練和することにより早くなった。
4.破砕抗力, 引掻き硬さともに真空練和したものが常圧練和のものより丈夫であった。
5.真空練和することにより, 埋没材の肉眼的に見うる気泡は全くとり除かれた。