口腔病学会雑誌
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再発性アフタにおける血清免疫グロブリンに関する研究
折橋 健
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1972 年 39 巻 3 号 p. 303-322

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抄録

再発性アフタ50例を中心として, その血清免疫グロブリンをIgG, IgAおよびIgMについて定量した。定量方法は一元平板免疫拡散法 (single radial immunodiffusion technique) を用いた。その結果は次のようであった。なお, 再発性アフタは臨床的特徴からMiAU, MjAU, HUの3症型に分類して検討した。
1) 健康人対照群の定量平均値: IgGは1384±335mg/dl, IgAは215±53mg/dl, IgMは152±64mg/dlであった。
2) 各疾患別特徴: 再発性アフタでは各免疫グロブリンが増加していたが, 健康人対照群と比較した増加率はIgMが最高, 次いでIgA, IgGの順であった。Behcet病でも同様の傾向にあったが全体に増加率は大きく, 特にIgMでは2.20倍にも達した。扁平苔癬は低い増加率しか示さなかった。
3) 再発性アフタの症型別特徴: MiAuにおける増加率はIgMが最大, 次いでIgA, IgGであったが, MjAUではIgAが最大, 以下IgM, IgGの順であった。HUでも増加を示したが, IgMが2倍近い値をとり注目された。
4) 再発性アフタの再発経過にともなう特徴: 病勢を反映して増減すると考えられるのはIgGであり, IgMはこれと無関係のように思われた。IgAに関しては明確でなかった。
5) 以上の結果, 再発性アフタでは症型にかかわらず, 成立の根底には血清IgM値の上昇がみられ, 症型による違いは主としてIgA値にみとめられ, 又, 病状の変遷では主としてIgG値に変動がみられ, MjAUとBeh陦et病との間にはIgM値の増加率に格差がみとめられたと総括できた。

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