口腔病学会雑誌
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ガリウム合金の歯科応用に関する基礎的研究
斎藤 允昭
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39 巻 (1972) 4 号 p. 578-596

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抄録

Waterstratの処方に従って, ガリウム・パラジウム・スズ合金を試作し, この合金の硬化24時間後の歯質に対する接着力および窩洞に填塞した充填物の辺縁封鎖性について, 従来のアマルガムとの比較検討を行った。また硬化したガリウム合金表面, 接着力試験後のエナメル質被接着面および充填物の窩洞接触面を走査電顕で観察し, またガリウム合金の凝結膨張量を測定して, 次のような知見を得た。
1) アマルガムは歯質に対して接着力を全くもたなかったが, ガリウム合金は接着性を有し, 特に象牙質よりもエナメル質に強く接着した。
2) ガリウム合金のエナメル質に対する接着力は室温より口腔温の方が低く, また湿度が増加すると低下し, 水中ではさらに低下した。粉に対する液量が減ると接着力は低下した。
3) ガリウム合金の象牙質に対する接着力は室温より口腔温の方が低く, また液量が少ないほど低く, この点ではエナメル質の場合と同様の傾向を示した。湿度に関しては室温のときには乾燥空気中が一番強く, 口腔温のときには乾燥空気中と水中で接着力がほとんどなかったのに対して, 飽和湿気中のみ若干の接着力を示した。
4) 充填物の辺縁封鎖性はガリウム合金が最も良く, 削片型アマルガムがこれに次ぎ, 球状アマルガムが最も悪かった。
5) 硬化したガリウム合金表面は細かいほぼ均一な凹凸面を示し, 未研磨面では合金粒子とマトリックスが区別できなかったが, 研磨面では両者が明瞭に区別できた。
6) 引張り試験後のエナメル質被接着面にはガリウム合金がちぎれて斑点状に付着していた。
7) 球状アマルガム充填の窩洞接触面は海綿状の残留合金粒子と粒状構造の結晶の集合からなるマトリックスがみられ, 凹凸が多かった。削片型アマルガム充填では接触面の形は不規則で, 凹凸はやや少なかった。
ガリウム合金充填では合金粒子とマトリックスの区別がつかず, 軽石状の細かい凹凸による粗造面を呈していた。
8) ガリウム合金の凝結膨張量は粉に対する液量が減るほど大きくなり, 24時間後では1: 0.5のとき21μm/cm (0.21%) , 1: 0.43のとき35.7μm/cm (0.36%) , 1: 0.4のとき40.7μm/cm (0.41%) であった。

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