口腔病学会雑誌
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ハムスターの歯周組織に対する卵巣摘出, 軟らかい食餌および咬合機能喪失の影響について
吉野 信哉
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40 巻 (1973) 3 号 p. 242-263

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抄録

本研究は歯周組織に対する女性ホルモン欠乏の影響, 2つの局所的因子による影響およびそれらの間の関連を知る目的で行なった。
実験動物には成熟した若い雌のゴールデン・ハムスターを用い, 卵巣摘出, 軟らかい食餌および咬合機能喪失が歯周組織に及ぼす影響について検討した。実験期間は卵巣摘出ならびに左上顎第1, 第2臼歯抜歯後6カ月までで, 左右の下顎第1臼歯部を中心に組織学的に観察した。
1.卵巣摘出群は非卵巣摘出群に比して, 第1臼歯近心側で歯肉嚢底の深部移動および付着上皮の深行増殖の程度が強かった。これは卵巣摘出が宿主の細菌に対する抵抗性を減弱させ, 辺縁部歯周組織の変化を増強させたものではないかと考えられる。
2.軟らかい食餌群は固型飼料群に比して, 第1臼歯近心側で歯苔の沈着, 歯肉嚢底の深部移動, 付着上皮の深行増殖が強く, 付着上皮とその直下の固有層内の炎症性細胞浸潤もやや強かつた。これは軟らかい食餌が歯苔形成を促進し, 辺縁部歯周組織の変化を増強させたものと考えられる。
3.対合歯抜去側は咬合側に比して, 辺縁部歯周組織においては, 第1臼歯近心側で付着上皮の深行増殖が強かった。これは咬合機能喪失が自浄作用を低下させ, 辺縁部歯周組織の変化を増強させたものと考えられる。第1, 第2臼歯歯間部では変化は咬合側の方が対合皙抜去側より強く, その差は固型飼料群で比較した方がより明らかであった。これは, この部では咬合による食片圧入などの機械的刺激の方が咬合機能喪失による自浄作用の低下の影響より強いことによると考えられる。辺縁部以外の歯周組織では, 対合歯抜去側で廃用性萎縮の変化がみられた。
4.卵巣摘出, 軟らかい食餌ならびに咬合機能喪失による影響を相互に比較し, さらにこれらの組合わせによる変化も観察し, 考察を行なった。

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