口腔病学会雑誌
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口腔組織におけるコラーゲンの架橋結合とIII型コラーゲンについて
高木 亨
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1975 年 42 巻 1 号 p. 42-51

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抄録

歯根膜, 歯肉, 歯髄の三種の口腔内結合組織の生理的機能をその化学構造の面から明らかにするため, これらの組織のコラーゲン線維に着目し, その機能発現に最も重要な因子の一つである架橋結合の分析を行った。同時に架橋結合の線維間分布状態を各組織で比較分析するためコラーゲンのプロムシアン (CNBr) ペプチドを調製し, そのべプチドのパターンを分析した。その結果これら三種のコラーゲンの架橋結合のパターンは, 骨, 象牙質, 皮膚のコラーゲンの架橋結合のパターンとは明らかに異なっており, Hydroxylsinonorleucine (HLNL) が最も多く存在し, ついでDihydroxylysionnorleucine (DHLNL) が多く存在することがわかった。これら2種の架橋結合の割合 (HLNL/DHLNL) は歯髄, 歯肉, 歯根膜で各々0.37, 0.55, 0.72であった。同時に, CNBrペプチドの分析結果から, 歯髄, 歯肉, 歯根膜コラーゲンには1型コラーゲンに由来するCNBrペプチド以外に, III型コラーゲンに由来するα1 (III) CB-3のピークの存在を確認し, これらの組織のコラーゲンは骨や, 象牙質と異なってI型とIII型のコラーゲンの混合物であることを見出した。

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