根尖の病巣の治癒過程を口内法X線写真により追跡し, 病態の変化を定量的に把握するために, 口内法規格X線写真撮影に関する基礎的事項にっいて検討し, 臨床応用を目的として実験を行った。使用した装置は, 本多D-60-5歯科用X線装置で, 物理的条件, 幾何学的な撮影条件は, 管電圧60kVp, 半価層1.8mmAl, 管電流10mA, 焦点フィルム間距離34.5cmで, 照射野は, 直径17cmとした。使用したフィルムは, フジKX, X線フィルムで, 現像液にはハイレンドール, 定着液にハイレンフィックスを用いた。実験用ファントームとして石膏階段の模型を用いて行った結果では, 石膏階段 (歯槽骨) と石膏階段に穿った穴 (根尖病巣) との写真濃度および両者の間の写真コントラストは, 照射時間と石膏階段の厚さによって変化を生じた。また, 口内法においては, X線の物理条件 (管電圧, 管電流) は固定されており, 幾何学的条件も, 口外法に比べてかなり再現性は高い。それ故, 根尖病巣のフィルム濃度は, 口内法においては露出時間と患部の状態によって左右される。
以上の結果をもとに, 同一患者で同一部位を照射時間のみを変えて撮影したフィルムの濃度と病巣の大きさについて測定した結果, 濃度は照射時間が変わることによって変化しても, 病巣の大きさには, 変化が少なく, 病巣の経過を観察する時は, 濃度によってではなく, 病巣の大きさを観察した方が妥当と考えられた。