口腔病学会雑誌
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歯頸部エナメル質の微細構造に関する観察
田本 寛光
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1978 年 45 巻 1 号 p. 100-137

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抄録

歯冠補綴物の歯頸側辺縁の位置設定に関する研究の一端として, 歯頸部エナメル質の構造上の特徴について観察した。ヒトの健全大臼歯を用い, 各種方向の断面に研磨標本を作製し, 棘突起を含む歯頸部エナメル質について光学顕微鏡ならびに走査電子顕微鏡を用いて観察した。走査電子顕微鏡による観察は, 酸腐蝕を行い, 研磨面のほか, 破折面ならびに歯の表面構造についても観察した。
歯頸端1~2mmの領域では, 歯頸端に向かうにしたがって, シュレーゲルの条紋が表面まで達するようになり, それにともなって, エナメル小柱の横断面形態が弧門形となる。さらに歯頸端に向かうにしたがって, また深層に向かうにしたがって, エナメル小柱の走行, 配列, 形態が不規則となり, 歯頸端では小柱が不明瞭となる場合が多い。また歯頸部表層や深層に無小柱エナメル質が存在する場合が多い。歯頸部におけるレチウスの線条は, より深層まで明瞭にみとめられることも多い。エナメル質に生じる亀裂や破折は, おもに電顕的小柱鞘の部分で起こる。歯頸端1mm以内では, 石灰化の悪い場合が多く, 低石灰化帯の出現頻度も高い。しかし過石灰化帯も比較的多くみとめられる。棘突起においては, 歯頸端における構造上の特徴があたかも引き伸ばされたかのような構造を示す。歯頸部エナメル質表面には, 大小多数のキズや歯小皮, 周波条, 小窩などが存在し, 非常に変化に富んでいる。

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