交通学研究
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EUにおける航空会社‐空港の垂直的統合と競争政策上の課題
小熊 仁
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2011 年 54 巻 p. 175-184

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抄録

1993年のパッケージⅢ発効以後、EUの大手航空会社はハブ空港への集約化をすすめたことから、利用者がふるわない二次的空港や地方空港では路線の撤退や運賃の引き上げが相次いだ。二次的空港や地方空港では空港使用料の引き下げをはじめとする様々な特典措置を用意し、その減収分については非航空系収入によって埋め合わせることでLCCを誘致している。こうした航空会社-空港間の関係の強化は航空会社と空港の垂直的統合とも言い換えられ、空港の財務パフォーマンスの改善や航空ネットワークの拡大に寄与する一方で、航空市場の独占化を引き起こすことから競争上望ましい帰結をもたらさないと言われている。本論文は航空会社‐空港間の垂直的統合の構造とそれが競争に与える影響を検討し、競争政策上の示唆を導出することを試みた。

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© 2011 日本交通学会
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