抄録
欧州では1993年のパッケージⅢの発効以後、包括的パッケージ型商品が支配的地位を占めてきた短距離・中距離リゾート路線にLCCが参入し、ツアーオペレーターとLCCの間で企業間競争が展開されている。これに対して、ツアーオペレーターはチャーター航空会社を含む上流市場と下流市場全般の垂直的統合、およびツアーオペレーター間の水平的統合を繰り返すことで競争優位を確保している。本論文はチャーター航空会社の構造変化とツアーオペレーターの統合の内容を整理し、統合に対する競争政策上の対応を考察した。そして、今後の包括的パッケージ型旅行市場において競争システムを有効に機能させるための政策的課題を検討した。