2015 年 58 巻 p. 73-80
本論は動学的一般均衡モデルにより、我が国の道路のメンテナンス政策を定量的に分析する。既存研究において動学的マクロモデルに社会資本のメンテナンスを内生化する試みは行われてきた。しかし、それらは典型的なマクロ経済を想定しておらず、我が国の政策を定量的に分析する上で限界を抱えている。本論のモデルは典型的なマクロ経済想定の下、社会資本のメンテナンスを内生化している。シミュレーションにより、道路予算に占めるメンテナンス支出の割合を現状付近で増加させることで、道路ストックを増加させ、経済厚生を改善させうることを示す。また、過大なメンテナンス投資により道路ストックが減少し、経済厚生が損なわれる場合もあることを指摘する。