交通学研究
Online ISSN : 2434-6179
Print ISSN : 0387-3137
一般化時間による離島居住者の海上交通移動の負担感に関する分析
荒谷 太郎宮崎 恵子
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2016 年 59 巻 p. 173-180

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抄録

わが国の全離島の平均高齢化率(人口に占める65歳以上の割合)は43.9%であり、わが国全体の高齢化率、23.0%と比較して高い水準にある。高齢化が進んでいる離島において、生活基盤の維持は重要な政策課題であるといえる。離島居住者は、通院など本土との往来にはフェリーや旅客船を利用しなければならない。特に高齢者にとっては、待ち時間や交通結節点内での移動など、本土との往来は大きな負担となっている。 本研究では、離島と本土を結ぶ直通バス(シームレス運航バス)が運行された場合、これまでの路線バスとフェリーを乗り継いで移動した場合と比較して、どの程度の負担感に違いが生じるかについて明らかにすることを目的とする。具体的には、社会実験時に測定した被験者の歩行速度より、シームレス運航バスを利用した移動(以下、シームレス利用)、路線バスとフェリーを利用した移動(以下、フェリー利用)を比較し、一般化時間を用いることにより負担感の違いについて明らかにした。本研究において示した結果は、利用者減少が見込まれる離島航路において、船を小型化しても利便性が保てることを示しており、持続的な航路運営に寄与するものと考える。

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© 2016 日本交通学会
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