2017 年 60 巻 p. 143-150
本稿は、コンセッション方式で交通インフラを民間事業者に委託する際の望ましい収入シェアルールのあり方について検討したものである。分析には、交通インフラが地域に及ぼす影響を考慮に入れたモデルを用い、非対称情報下での次善の収入シェアルールを導出した。その結果、外生的需要リスクが小さい場合には、利用者からの課金収入を上回る支払いの契約によって必要な投資が一定程度実現されることを示唆した。これを現実に適用すると、一定の収入や利用者数を達成した場合に報酬を与える契約を検討することが考えられる。