交通学研究
Online ISSN : 2434-6179
Print ISSN : 0387-3137
高齢ドライバーの運転目的に関する研究―運転免許自主返納政策への一考察―
眞中 今日子中村 彰宏加藤 一誠
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 61 巻 p. 45-52

詳細
抄録

本研究の目的は、65歳以上の高齢ドライバーが運転し、運転免許を自主返納しない理由の一端を明らかにすることにある。全国規模で実施したWEBアンケート調査の個票データにもとづき、高齢者の運転行動と高齢者自身の運転以外の交通手段や運転目的の関係を分析した。分析からは、自身で運転する高齢者は公共交通へのアクセスが不便であり、タクシーを含めた公共交通の利用機会が乏しい立場に置かれており、運転可能な若年層との同居は運転と無関係であることが示された。そして、高齢者は買い物・若年層の送迎を目的に自身で運転して外出する機会も多い。このことは、ICTを活用した宅配サービスやスーパー等の商品配達サービスの浸透や若年層の移動手段の確保が、高齢者の運転機会の減少に有効であることを示唆している。

著者関連情報
© 2018 日本交通学会
前の記事 次の記事
feedback
Top