交通学研究
Online ISSN : 2434-6179
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大阪北部地震により列車内閉じ込めに遭遇した乗客の心理状態とその軽減に関する一考察
吉田 裕
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2020 年 63 巻 p. 63-70

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抄録

列車の駅間停車にともない長時間にわたり発生する列車内閉じ込めは、体調不良を訴える乗客が発生するだけでなく、乗客の心理状態を悪化させる恐れがある。ところが、列車内閉じ込めの状況下に置かれた乗客の心理状態等に関する研究は少なく、それらを正確に把握するために実際の閉じ込め場面における実態調査が必要と考える。そこで、2018年6月18日の朝に発生した大阪北部地震により列車内閉じ込めに遭遇した乗客182名を対象に、地震発生当時における乗客の心理状態等に関するアンケートを実施し、実際の閉じ込め場面における乗客の心理状態の把握を試みた。 その結果、停車から1時間が経過した後にはほぼ半数の乗客が降車の必要性を感じていることがわかった。また、心理状態に影響を与えたと考えられる要因は、見通しに関する車内放送、スマホ、トイレに加え、室内温度、約束の時間、着座に関するものであった。

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© 2020 日本交通学会
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